「陰陽は、人間の生死に決定的な影響を与えるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「なぜ、人間は、そんなに重要なことに気がつかないのでしょう。」

「一般的に言えば、体に問題がない人は、陰の物を見たり、陰の物に触れたり、陰の物を食べたりすると、さわやかな感じがするのです。」

「なるほど。健康な人がスーパーへ行って、陰の物を見ると、『ちょっといいかも』とか思ってしまうのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。個人としての人間は死ぬように進化しているということです。」

「人間は、経絡と陰陽で死ぬように進化しているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。陰陽が分かるのは天才系の人です。普通の人が、僕のような陽の気を発する人間を見ると、『こいつ、何か変、怪しいやつだ』とか思うようです。」

「渡辺さんは、子供の頃から陽の気を発していたのですか」と町会長。

「家内と息子は生まれたときから陽の気を発していたようですが、僕と娘は陰の気を発していたようです。」

「渡辺さんは、肺炎で体が固まってしまったため、陰陽が分からなかったのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。今考えれば、家内と息子は生まれたときから陽の気を発していて、僕と娘は陰の気を発していたということです。」

「なぜ、渡辺さんは、陽の気を発するようになったのですか」と町会長。

「スキーのやりすぎで、足に問題を感じるようになって、整体とか、マッサージとか、気功治療とか、色々試したのですが、良くならなかったので、自分で自己治療を始めたためです。」

「自己治療をすると、陽の気を発するようになるのですか」と町会長。

「自己治療をすると、陽の気を発するようにはならないで、早死にする人が多いです。」

「それでは、なぜ、自己治療で陽の気を発するようになったのですか」と町会長。

「最初は、赤外線レーザー治療器を使って治療していたのですが、体が緩むにしたがって、気が分かるようになり、突然、パワーストーンで治療できることに気がついたのです。」

「パワーストーンと言いますと?」と町会長。

「水晶とか、トルコ石、ラピスラズリー、カヤナイトのような陽の気を発する石です。」

「そんなもので治療ができるのですか」と町会長。

「正しく使えば、赤外線レーザー治療器より効果があります。」

「アマゾンで売っているパワーストーンでいいのですか」と町会長。

「とんでもありません。昔は陽のパワーストーンを売っていたのですが、今は強い陰の物ばかりです。あんなものを使ったら、寿命が縮んでしまいます。」

「それは残念です。それでは、パワーストーンで陽の気を発するようになったのですか」と町会長。

「パワーストーンは驚くほど体が変わるので、ウェブでパワーストーンを買いあさりました。」

「それで陽の気を発するようになったのですね」と町会長。

「陽のパワーストーンを使うと、体が大変化を起こしたように感じるのですが、何度大変化を起こしても、足の違和感は消えないのです。」

「それで、どうしたのですか」と町会長。

2020/9/7

<筆者の一言>
ウィキペディアの『アメリカ合衆国の経済史』には、『1970年代以降、日本の自動車や家電製品がアメリカ国内でシェアを伸ばした。1980年代に入ると小型低燃費で品質が向上した日本車が輸出を一層拡大した』という記載がある。1970年代、1980年代は、1ドル250円前後の時代だ。為替が1ドル250円前後であれば、日本の家電製品も国際的な競争力があったのだ。

興味深いのは、円高になっても、日本の自動車産業は国際競争力を維持できたのに対し、家電製品産業は国際競争力を失ってしまっていることだ。家電製品産業が抱える本質的な問題は何なのだろうか<続く>


<ムクドリ92>
信玄雀と部下が、おもちゃの鷲に目とくちばしがあるかないかを、鷲の両側から確認しようとして偵察飛行をした翌日の夕方、裏の栗林の方でイエスズメが鳴くのを聞いた。鳴声は小さかった。

のっぺらぼうの鷲が声が出ないほど怖くても、イエスズメが西の防風林から逃げ出さないのは、鷲が中門の横にいるので、鴉が来ないのを知っているのだ。今回のように、鴉が来たとしても、樫の大木の枝の中では、鴉が何もできないことも知っているのだ。

翌日もイエスズメは鳴いていたが、声が小さかった。信玄雀は、のっぺらぼうの鷲は、『目がないのでイエスズメを追いかけることはできないし、くちばしがないので食べることもできない』と説明しているのだろう。しかし、理解できないものの存在は、あまりに恐ろしいに違いない。<続く>

2023/8/21

※このファイルは1回アップロードしていますが、第三百四話の内容が間違っていたため、誤ったファイルを削除し、再アップロードをしています。

肝機能が上がって、脳が僅かに緩み、頭はかすかに良くなっているような気がしていますが、動体視力が途方もなく上がっているため、ミスが避けられない状態です。